過去ログ - ヴェント「安価でツンデレを克服したら、フィアンマに告白出来るはず…よね」
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162: ◆H0UG3c6kjA[saga]
2012/05/05(土) 15:38:16.52 ID:t7zs8KJ70
《素ヴェントさんのお話は好きですが作者様とは何ら関係無い人間なので…前半部分だけ安価として捉えさせていただきます》





前方「素直にね、分かりました。私の本当の気持ちはフィアンマの事が死ぬ程大嫌いってコト。だけど、私の気持ちと意志とは関係なく>>1の力と安価のせいでスレタイの通りに変な行動になるし…だから神の右席は辞めたいので…辞めます」

右方「くっ、はは!!」





心底愉快そうに笑って、フィアンマがゆっくりと首を傾げる。つまらないジョークをよくよく脳内で繰り返した結果、腹を抱えて笑った後の様に、その愉快さに気づいてしまった自らを嘲けるかのような表情で。
好きだと言う勇気が無いのならいっそ嫌われてしまおうと酷い暴言と、言ってはならない言葉を吐いたにも拘らず、予想の遙か斜め上をいったフィアンマの行動に呆然としながら、ヴェントは閉口した。

「なるほど、なるほど、なるほど。つまり、お前は主の御心(安価)に指示を仰ぎ、俺様に接していた訳か」
「……そう、よ…笑い事じゃない」
「それならば、先程の言葉はまるで逆の意味合いになるな。そもそも、幾ら命令したところで、お前が俺様に本当の事を話す訳がない。プライベートの場では。まったく、なかなかどうして、お前は愉快なヤツだ」
「………」
「我らが十字教の主に指示を仰げるのは肯定的なものだ。そのお告げがどんなものであれ、その下地に邪な…まぁ、嫌い、憎い、そういったものがあれば主は聞き届けない。逆のパターンはあったとしても。俺様に嫌われたいのなら、そもそも関わらなければ良かったというだけの話に過ぎない。総括しようか。お前は俺様に嫌われたかった訳じゃない。まして、俺様が大嫌いだという訳でもない。嫌いなものに積極的に関わりを持ちたくない性格だということは、科学についての態度で確認済みだ」
「……、…」
「この確定事実を元に、再度問いかけようか。最近の行動に際して、お前は何故俺様に構う」




「私は、」



一瞬にして断崖絶壁へと追い詰められたような気分になりながら、おずおずと口を開く。
そもそも、自分はこの為に今まで空回りの努力を続けてきたのだ。そうだ、自分は切羽詰まってしまえば、真実を吐き出す。そういう人間なのだ。
よくよく言葉を練って、あまり意識しないようにしつつ、ヴェントがようやく言葉を口に出せたのは、実に5分後の事だった。
奇しくもその言葉は、フィアンマが夢で聞いたそれとまったく同じもの。


「フィアンマが、好き。……だいすき」


林檎の様にと喩えるべきか、羞恥に頬を紅潮させながら、プライドも何もかもかなぐり捨てて、一人の女性としての告白。
そんな、好意に満ち溢れた、素直な言葉を耳にして、フィアンマは沈黙する。
ヴェントが好きなのかと問われれば、何とも言えない。嫌いなのかと問われれば、自信を持ってノーと言える。
愛しているのかと言われれば、そもそも自分は、人を愛した事が無かったから、何とも言えない。
ただ、触られても不快ではなかった。暴言を吐かれて、傷つくとまではいかずとも、多少気にしたこともある。
この、自分が。この、『右方のフィアンマ』が、だ。
思い返せば思い返す程、自分が知る女性の中でも、一際ヴェントは特別な存在だったように思う。
告白されて初めて意識するのもおかしな話だが、フィアンマとヴェントとの間柄では、むしろこの方が正常なのかもしれない。

「俺様は、」

掠れた声だった。緊張している事は自覚済みで。
それでもここで返答を返さなければ、自分はきっと大切なものを知る事が出来ない。
これはきっと、神様とやらから与えられたチャンスなのだ。
自分が、フィアンマが、人を愛する為の。悪意や敵意等以外の、もっともっと、人間が持つ原始的で優しく素敵な、柔らかで美しい感情を知り、信じる為の機会。


「お前の、…ヴェントの…いや……――――のことが」

彼女の本名を呼んだのは、何年ぶりだろうか。
どうしようもなく喉が乾く。緊張か、興奮か、或いはそのどちらでも無い何か別の激情なのか。












―――そうして彼は、一つの答えを口にした。


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