236: ◆IsBQ15PVtg[saga]
2012/08/13(月) 18:13:12.02 ID:9uRBUW4SO
ためらっていても仕方が無い。
鍵を探す手間が省けたのはおろか、そもそもこうなってやることなぞ一つしかない。
初春「…………」
閉じられた目の前の教室からは物音一つすらしない。
あの後内部では――そこにいた刻命の身に何が起きているかなんてわかるはずもない。
あの状況の後で物音がまったくしないなんて、あまりにも不気味すぎる。
すかさず鍵を引き戸の合わせ目にある鍵穴に差し込む。
鍵穴自体も長年使われていなかったのか、黒くくすんで、うっすらと埃が溜まっていた。
鍵はゆっくりと鍵穴に沈み込んでいくものの、所々で引っ掛かってしまう。
少し力を加えれば、わずかに入り込むのだが、そのまま力任せに押し込むのはどこかためらわれた。
錆び付いて強度自体が弱くなっているので、鍵が折れてしまう心配があったが――それにも増して、押し込んだ時に手に伝わる感触が気持ち悪かった。
なんとなく、柔らかいものに差し込んでいるような感じだった。
さながら――肉に刃物を突き刺しているように思えたのだった。
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