271: ◆IsBQ15PVtg[saga]
2012/10/04(木) 01:17:48.37 ID:2ytvna2r0
不快感を催しそうな、甲高い軋みを上げながらも――右方向へとスライドした。
図工室の内部の照明は、一つも灯っていない。
背後にある、廊下の蛍光灯が――入口付近の床と、その前で身を固くしている黒崎と初春の二人に、無機質な光をただ照らしつけていた。
初春「ひっ……こ、これ……」
黒崎「……あんまり見ないほうがいいな、マジで」
目に飛び込んできた光景に――体をびくつかせてしまう初春。
思わず傍にいる黒崎の体に抱きつき、顔をうずめてしまう。
そんな彼女をよそに、特に目をそむける素振りを見せない黒崎。
しかし、それとは裏腹に戦慄しながらも、図工室の光景を目の当たりにしていた。
突っ立つ足も小刻みに震えている。
可能なら逃げ出したい――と言いたげな、彼の本能が発する反応だった。
図工室の中央付近。
ある一点を中心として、円形に並べられた複数のイーゼル。
先程、初春が見たのと変わらない配置で並べられていたが――その時と違うことが二つ。
一つは――イーゼルに掛けられたキャンバスが、真っ赤だったこと。
わずかな塗り残しも無く、どれも完全に赤一色に塗りたくられていた。
しかも筆とかで塗ったのではなく、まるで塗料をぶちまけたかのように――キャンバスはおろか、周囲のイーゼルも、床も赤くそまっていた。
さながら、そこら中に血をぶちまけたかのように。
床には無数の血の池ができているというようにも見えた。
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