280: ◆IsBQ15PVtg[saga]
2012/10/04(木) 01:27:19.27 ID:2ytvna2r0
初春「…………」
背後にある、外側に面していた窓の一つに手を掛けた。
そして、力いっぱいに開けようとするが――開かない。
隣の窓も、その隣の窓も同様だった。
まるで固定された模型であるかのように、全くといっていいほど動きすらしない。
恐らく、それ以外の窓も同じような感じだろう。
刻命が窓から外へ飛び降りた――そんな可能性も考えられた。
が、それはおそらく無いといっていいだろう。
飛び降りたのなら、窓は開いたままになっているだろうし――そもそも、そんな気配は見受けられない。
外は雨が降っていて、窓を開けようものなら、雨水が教室の中に吹き込んでくるのは必至だった。
窓の桟や周囲の床に濡れた跡が残るはずだろうが、一切といっていいほど見当たらない。
初春(ん?)
外側に面した窓全てを眺めていたとき、あるものが目に入った。
教室の後方に向かって左隅にある、古びた金属製のロッカー。
おそらく掃除用具入れだろう。
人一人は入れる大きさであり、扉はぴっちりと閉じられている。
ひょっとしたら、刻命はこの中に隠れているのではと思った。
中に入って、内側から扉を閉じるだけならできないことではない。
もっとも体型は大柄な方に入る刻命が、この狭そうなロッカーに入るのはきつそうであり、この想像にも無理はあるが。
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