289: ◆IsBQ15PVtg[saga]
2012/12/03(月) 02:23:33.53 ID:GdWm0ugO0
初春「黒崎さん、ちょっと待ってください!!」
引き戸を引っ張る黒崎の腕に手を掛け、彼の動きを制止した。
黒崎「おい、今度は何だよ!!」
親友が向こうの空間にいるかもしれないのに、それを引き止める声。
引き戸はわずかながら開いてきている。
正直手は痺れるくらいに痛くなってきたが、それでも努力すればどうにか開くかもしれない。
にもかかわらず、目の前の見ず知らずの女は、そんな彼の意思に水を差すかのように引き止めてきている。
正直、頭に来ていた。
抗議の声を上げながら、初春をただ睨み付けていた。
初春「…………」
言えなかった。
これまでの空間の変わりようから――この空間には刻命はいないかもしれないということが。
考えてみれば、当然のことだ。
目の前の彼は親友がいるかもしれないと思って確かめようとしているのに。
一生懸命になっているのに、それを言ったら、水を差すだけでは済まされない。
今引き止めただけでも、険悪な状況にさせてしまっているのに。
黒崎の剣幕に対して、何も言えなかった。
ここでやるべきことは――
少し考えると、すかさず教室の後方へと向かって走り出した。
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