49: ◆IsBQ15PVtg[saga]
2012/05/25(金) 23:28:02.99 ID:JGVhH3Y+0
刻命「ここは慎重に行かないとな。ほとんど崩れ落ちてしまっている」
初春「これって、かなり危ないんじゃ……」
刻命「そうだね。ただ、残っている所は辛うじて梁で支えられている。体重の乗せ方を気をつければ、なんとかいけるかもな」
目の前の階段は、刻命の言うとおり、大半が崩れ落ちていた。
右端の部分に、人一人が通れるか通れないかの幅で、階段が残っている。
刻命の言うとおり、幸い下を横切る数本の梁に支えられていて、かつ木が腐っているという気配もない。
手すりに両手を掴みながら、恐る恐る、残ったスペースに足を一歩一歩踏み出していく。
気味の悪い軋みを上げるが、そのまましなったり崩れたりということはなかった。
しかし、幅が相当狭いために、乗せた足が半分宙に浮くという形になる。
思わずそれを目にしてしまった。
途端に心の底から落ちるかもしれないという不安と恐れが湧き上がり、滅入りそうになる。
そのためか、一瞬初春の体はふらつきそうになった。
刻命「おっと、危ない」
階段を昇りきっていた刻命がすかさず、初春の腕を掴む。
なんとかふらつきは収まり、安定した形になる。
初春「す、すみません」
刻命「いいんだ。とにかく下を見ないで」
初春「はい……」
左腕を刻命に掴まれる形で、なんとか残された段差を昇る。
幅が狭い空間は数段であり、手すりを握った手を支えにしながらも、なんとか昇りきった。
それを悟った瞬間、全身から汗が吹き出るのを感じた。
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