過去ログ - 青子「……」有珠「……ひどい」草十郎「……ごめん」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 19:44:48.37 ID:PwLoTL370

「…………」


 草十郎は沈黙した。
 俺にまだやってもらいたいことがある、だと……鳶丸の死に顔をまだ忘れてもいないこの俺に……。
 土桔 由里彦の草十郎を見る眼には、憎悪に近い光が浮かんでいる。





 組織において、里親の命令は絶対であった。
 彼らの両親は、いずれもなんらかの形で死んでいる。
 いや、死を好機とし、組織から齎される滅びの運命に殉じて、自ら死を選んでいったと言い換えた方が正しいかもしれない。
 

 ――その子供を組織の手に託して……そして、その子供たちもほとんど、長じると同時に親と同じ運命を選んだのだった。
 こうして、一族へ入っていった者らは程なく全滅していった――が、まだ草十郎は生きている。
 滅びの運命からは外れた行為であるかもしれない。


 が、時に、草十郎は山奥での暮らしを懐かしく想い出すことがある。
 総ては世間の眼をだますための方策でしかなかった……
 実際には、自分がいた山奥は組織の総本山であり、子供たちが身を寄せる、疎開先でもあったのだ
 ――草十郎が懐かしく想い出すのは、同郷の子供たちが山奥で集団生活を送っていた頃のことである。
 そう、あの頃はまだ仲間が多勢生き残っていて……




「なにを考えている?」


 土桔 由里彦が訊いてきた。



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