過去ログ - 青子「……」有珠「……ひどい」草十郎「……ごめん」
1- 20
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/14(月) 21:05:50.72 ID:8eIhzJZJ0

「誰かいませんかー」


 青子は声を張り上げた。
 しかしその声は、昼さがりの気だるいような空気に、いささかの反響を呼ぶこともなく虚しく消えていった。
 青子は二度と声をあげる気がしなくなった。
 まさか、昼間から門を乗り越えるわけにもいかなかったからだ。
 しばらく公園でもぶらついて、時間を潰してから、出直してくるか……そう考えて、青子が踵を返しかけた時、


「面会か?」


 横手から声がかかった。
 痩せこけた、若い男だった。
 黒いアロハを着て、黒いズボンを穿いているが、それでもまだ地におちている自分の影より、稀薄な感じがするような男だった。
 胸を患っているのかもしれない。その目が異常にぎらつき過ぎているように見えた。
 髪を長く伸ばし、首に航空兵の白い絹スカーフを巻いている。


「どうだ? 面会か?」


 男は繰り返した。


「そうだけど……」


 青子の声は確信に欠けていた。どうしてか、聖堂教会の人間である、とは思えなかった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
104Res/75.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice