過去ログ - 青子「……」有珠「……ひどい」草十郎「……ごめん」
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68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/14(月) 21:47:40.13 ID:8eIhzJZJ0


 現在の夜の三咲町は近隣でも最も治安の悪い地区だと言われている。
 こんな時刻に、若い女が三咲町を歩くのは、襲ってくれと頼んでいるようなものだった。
 青子が駅に降り立った時、マーケットにうるさいほど群れ集っていた人混みは、あれから三時間とはたっていないのに、
 潮が引いたようにもうすっかり消えてしまっていた。
 その活気に満ちた昼間の群集と入れ替わりのように、素姓も、職業も、性別さえもはっきりとしない人間が、
 闇のなかに蠢き始めている。
 最近では、いずれの盛り場にも、やくざ、パンパン、男娼と娼婦が跳梁し、
 このあたりでは、独りで泥酔でもしようものなら、介抱窃盗に身ぐるみはがれるのが、常識のようになっている。
 つい先日までは夜間通行禁止措置がとられるほど治安が悪化してはいなかったのが、今ではこの有様だ。


 にもかかわらず治安の悪さが分かっていながら、夜の公園に迷い込むアベックは後を絶たず
 必然的に、恐喝、強姦事件なども後を絶つことはない。
 今また一組のアベックが公園の入口に近づいていく。
 公園の入口には一〇〇人ぐらいの人が群れていた。いずれも男娼か娼婦、浮浪者ばかり。


「イョッ、お楽しみ」
「ねえちゃん、幾らや」
「シスターさん、もう濡れてるのとちゃうか……」


 近づいてくるアベックの姿を見て、彼らはてんでに野卑な野次をあびせかけた。
 その海鳴りのような野次に、唯架が身体を縮めているのを、意地悪く観察しながら、


「まだまだこんなのは序の口よ」


 青子は楽しそうに言った。


「あなたがどんなつもりで私を誘ったのか分かってきたわ……」


 唯架がそう答える。表情に怒りの色が浮かんでいた。



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