過去ログ - 青子「……」有珠「……ひどい」草十郎「……ごめん」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:37:32.54 ID:PwLoTL370

 短い拘束期間ではあったが、やはり地下室の暗がりに慣れた眼には、五月の陽ざしは眩しすぎるようだった。
 緑がむせかえるように濃くなっていて、葉をそよがせる風が、ひどく爽やかだ。
 階段を上がりリビングに出た草十郎は、開けられた窓の所でしばらくその風に身をさらしていた。


「五月ももう終わりだな……」


 ボソリと独り言をつぶやくと、草十郎は頭を振った。



「静希くん……」



 少女の声が彼を呼び止めた。
 振り返った草十郎の眼に、銀杏(いちょう)の木陰から一人の少女が歩き寄ってくるのが映った。



「蒼崎か……」


 それだけを答えると、草十郎は再び外へ視線を向けた。
 彼の表情が陰りが差している。
 きらきらと眩い五月の窓の外の風景のなかで、彼一人だけがなにかうそ寒く見えた。



「ご挨拶ね」



 青子は彼の横をすり抜けて窓の中から入って来た。
 調子を合わせているようにも見えなかったが、草十郎に気兼ねしているようなこともなかった。
 淡い茶色の学生服に長い長髪を風に靡かせる姿が
 陽光にさらされているような背景に鮮やかに映えている。
 顔の線はどちらかというと鋭角的だが、その切れ長の目に匂うような色香があった。



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