過去ログ - 青子「……」有珠「……ひどい」草十郎「……ごめん」
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80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 13:44:30.76 ID:l6lpwwcP0

 藍が雪洞(ぼんぼり)に火を入れたジーッという揮発音とともに、植物油の匂いが庫裡に漂い始める。
 今、その淡い明りにボンヤリと浮かびあがっている人影は、二人。


「分からねえな……」


 陰りを含んだ面持ちで鳶丸が呻いた。


「説明していただけるんでしょうね」


 小柄な老人を渋い面で、咎めるような視線を向けている若い青年。


「怖いな……そんな表情で儂を見んどいてくれよ」


 老人の剽軽(ひょうきん)な口調は変わらない。


「俺たちに、あいつ等に関わるなと命じたのはご自身ですよ。
 お忘れですか。口を閉ざしたまま、眼を閉じたまま、ただ関わるなと俺たちに教えたのはあなたなんだ。
 そのあなたが、どうして彼女の正体を明かすような真似を……?」


 鳶丸が訊いた。
 重い、感情を極力圧さえた声だったが、やはり、そこには詰るような響きが含まれていた。



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