9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2012/05/06(日) 20:58:05.00 ID:pcEuJl7po
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律「……んじゃ、次は唯のプランな」
つまようじに差したからあげを私に差し出しながら、りっちゃんが言う。
私はもちろんそれを受け取らないでかぶりつく。
唯「おいひぃ。……んー、りっちゃんもうネタ切れなの?」
律「ネタって言うなよ! でも結構時間くっちゃったからさ、そろそろ、と思って」
唯「うーん……」
手で触れてみれば、ポケットに入れたメモ紙の感触はちゃんとあるんだけど。でもどうにもそれを広げる気になれなかった。
土曜日を丸々使って真剣に考えたこのデートプランが劣ってるなんて思わない。ただ、必要ないんじゃないかな、って思う。
だってやっぱり、りっちゃんと一緒にいるだけで楽しいってわかっちゃったから。
恋人らしいことを何もしないのは、恋人同士として間違っているかもしれないけど。恋人らしいことを詰め込んだ私のデートプランのほうが恋人同士としては正解なのかもしれないけど。
それでも、私とりっちゃんの関係としてはこれでもいいんじゃないかなって、私は思っちゃったから。
今がちゃんと楽しいんだから、急ぐ必要はないって思っちゃったから。
焦らなくても、急がなくても、きっと恋人らしいことに一歩踏み出すタイミングがそのうち来るんじゃないかな。
きっとあの時りっちゃんが言ったのはこういうことだったんだ。
唯「……ちゃんと、りっちゃんはわかってたんだね」
律「ん? 何が?」
私の差し出したからあげに、りっちゃんがかぶりつく。
唯「……こんな毎日が何よりも楽しい、ってこと、だよ」
律「……元々、楽しくいたいから私達は一緒にいるんだしな」
唯「そうだよねぇ」
そうだよね、元々それで始まった関係だもんね。
こういうカップルも世界に一組くらいはいてもいいんじゃないかな。
律「……おいしいな」
唯「そうだねぇ、からあげクン」
律「また、一緒に食べような」
唯「うん」
律「……約束だぞ、ゆい」
唯「うん」
律「絶対に、絶対に、何年経っても、一緒に食べよう」
唯「……?」
律「ずっと、ずっと一緒に楽しく居よう」
唯「………」
律「……約束だ」
唯「………うん、絶対ね」
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