過去ログ - P「エージェント菊地真?」真「はいっ!!」
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214:1 ◆6sOGwos0tc[saga]
2012/05/23(水) 20:52:51.22 ID:LHLntFb+0


「でもこの声を意識しないようにしていても、どうしても出てしまう時があるの。感情が昂って、心から本気で声を出した
 時とか、想いを伝えようと一所懸命になっている時とか。そしてそれが私にとっては……」

「歌っている時なんだね。だから千早の歌声はあんなに心に響くんだ」

 ボクの言葉に千早は首肯した。あの歌声にそんな秘密があったなんて。もちろん千早の実力はそれだけではないだろう。
本人も真面目に歌の練習に取り組んでいるらしいし、音楽に関する知識も豊富だと聞いている。歌も上手だし才能だって
あるに違いない。そしてその上にプラスして、そんな反則みたいな特殊能力を持っている。だが彼女の真面目な性格から
考えて、本人はその事を快く思っていないだろう。

「もちろんこの力は普段は封印しているわ。こんなズルみたいな真似してトップアイドルになっても嬉しくないもの。
 でも意識しないように努力していても、如月の力がそれを邪魔してしまうの。さっき私は耳も良いって言ったでしょう?
 あれもそのひとつ。私は他人の声や挙動が発する音から、その素性や思惑を読み取ることが出来るの。観客の反応を見て
 無意識に歌声を変えてみたり、調子を合わせたりしてしまう。私達如月の人間は人の心を操る事に特化した化物なのよ。
 その気になれば他人の心臓の音だって聞くことが出来るわ」

 千早が自嘲気味に笑う。昔読んだマンガに、そんな盲目の剣士がいたなあ。ボクはその剣士がとても怖かったのを憶えて
いる。最後は味方の仲間と勝負して敗れて殺されちゃったけど、心のどこかでほっとした。もはやそれは人間ではない。
サトリと呼ばれる怪物に近い。




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