過去ログ - あやせ「-------------------あなたのことが好きです」
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◆36m41V4qpU
[saga sage]
2012/06/13(水) 01:18:31.81 ID:gfJUulNA0
あやせは俺が立てた音を聞くと、 俺の袖と注意を同時に引いてニッコリ微笑む。
そのチャーミングな仕草や表情に、 思わず俺が見とれていると今度は口を開いて
『覚・悟・――――し・て・』
(声を出さずに 口の動きだけで)囁くと
ずっとヘアピンに触れていた右手と――――――俺の頬を撫でていた左手を
ゆっくり合わせて、 自分の胸の前で組み直す。
さっきほどの表情とはうって変わって、あやせの表情は何処までも真剣そのもので、
その姿は俺に、 神様に聖なるお祈りをしている聖女(天使)の様なものを想像させた。
俺が息を呑んであやせの様子を伺っていると
今まで散々、 俺を睨め付けて威圧して(魅惑していた)大きな瞳を閉じて
何かの合図をするみたいに(捧げるみたいに)ゆっくりと顔を俺の方に向ける。
今日告白してきた時、 俺が地蔵みたいに固まってた時に 雨に打たれながら
空に叶わない願いを祈っていた―――――――――――――あやせとは違う
虚空にあり得ない奇蹟を求めていた―――――――――――あやせとも違う。
俺の腕の中で全てを委ねているあやせを相手に、 この状況でどう考えたって
もう後戻りなんて出来そうにはなかった。
俺は覚悟(?)を決めると、 自分も目を閉じてあやせの柔らかくて濡れている唇に
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
#♭♪
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「「痛ッ」」
触れようとした瞬間に(携帯の音が鳴ったせいで)間抜けにも目測を誤って
俺は無人の空間とキスしてしまい、 俺らはおでこ同士をお互いぶつけてしまった。
まだあやせは祈りのポーズのまま、 目を瞑っている。
いくらなんでも『無人の空間』が俺のファーストキスの相手なんてのは切なすぎる
もちろん、 それはあやせにとっても。
だから、 さっきと俺らの状況は何ひとつ変わっていない(筈だった)
でも本当はちょっと違っていた。
その時、 俺は音だけで、誰__が__ 俺に着信をよこしてるのかを知っていたから。
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