過去ログ - あやせ「-------------------あなたのことが好きです」
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8: ◆36m41V4qpU[saga sage]
2012/05/16(水) 04:38:32.94 ID:HWhlZu0P0

「さよなら----------------お兄さん。
わたし応援してますから、受験頑張ってくださいね・・・・」

あやせの声はか細く震えていて、 気丈に激励されている俺の方がよほど
あやせを励まさなきゃいけない気がしてくるほど、 不憫に見えた。

なのに俺はずっと葛藤したまま、 沈黙なんて手段としちゃ最低の消極的な否定を
あやせに与えたままで。今にも、 あいつは振り向いて歩き出そうとしている。
同時に俺の出すべき解答も時間切れになろうとしていた。

俺の足はあまりにも重くて あやせに歩み寄ることはなく
俺の手はあまりにも力なく あやせに触れることもなく

     「……………………………………………………」


ちゃんと頭では分かっているんだ

今 何か言わなきゃ---------------絶対に 後悔するって

でも同時に気持ちはこんな風にも思う

たとえ 何を言ったとしても----------------必ず 後悔するんだろうってさ


結局 俺の口はあまりにもカラカラに渇いていて あやせにかけようとする言葉が
(本当にそんな言葉が俺の中にあるとすればの話だけど)出てくる前に

あやせの頬から 大粒の涙がこぼれ落ちてしまった。


あやせの姿を茫然と地蔵の様に眺めていたとき 今度は俺の視界もぼやける


そしてほとんど間を置かず

    「------------------------・・・・・・雨」

あやせがポツリと呟いた。


気付いた時には、冬特有の冷たくて静かな氷雨が 俺自身や俺が見えるもの全てを
----------------あやせを、あやせの髪を、あやせのダッフルコートを、あやせの頬も
その頬に流れていた涙も---------------全てを均しく濡らしていた。



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