11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/18(金) 18:23:18.92 ID:DRap2D2O0
少しばかり予定が崩れた事を不覚に思いつつも、銀製館学園は思ったよりも炎にとって過ごしやすい環境だった。
転校生という周囲との相違点が対して珍しくもないこの学園では必要以上に取り巻きができるわけでもない
なにより小学生の頃入院する前にどういう学校に通いどう過ごしていたかなど幾度ものループを経た今そうすぐに説明できる物ではなかったからだ。
その分生徒たちのスペックが魔法や繰り返しの知識のあるほむらに勝るとも劣らないものだったのが変身していないとはいえ驚けることだったが。
ほむら「鹿目さん、保険委員よね。気分が悪いからすこし保健室に連れていってもらって良いかしら?」
まどか「ウェ!?な、何で私が保険委員だって」
ほむら「先生に聞いたのよ(本当に)」
まどか「あ、あぁそっか・・・ウェヒヒ、暁美さん不思議な雰囲気があるからちょっとびっくりしちゃった・・・保健室はこっちだよ」
今年もまどかが保険委員であるという確証がないので、先生に聞いてからほむらはまどかと二人きりではなす機会を作ることにした。
まどかにしてみれば、必要以上に何も物言わない転校生と延々と歩く気まずい時間であることはほむらも理解している。しかしほむらにとっては唯一まどかと二人きりで居ても誰にも怪しまれない最初で最後の時間なのだ。
(その間幼いまどかの小学生姿をなめるように見つめていたのが本人にとって更にプレッシャーとなっていた事にほむらは未だ気づいていない)
まどか「あ、あのぉ・・・暁美さん?」
沈黙に耐えかねて、まどかが口を開いた。
ほむらはいつものループよりも早かったことに些かの物寂しさを感じつつも歩を止める。
ほむら「・・・なにかしら」
まどか「えっと、格好いい名前だよね。暁美・・・ほむらって、なんかこう、燃え上がれーって感じでさ」
ほむら「!!!」
ほむらは一瞬にして血の気が引いていくのを感じた。
いつものループのうち、初めての週でまどかが言った言葉だったからだ。そもそも、鹿目まどかは内気でコンプレックスの多い少女だった。だからこそ、魔法少女であるという自信がないうちに他人に対してこんなに気軽に話しかける少女ではないはずだった。すぐさまに振り返ってまどかを見る、睨みつけるような視線にまどかは身をちぢ込ませて怯えたような表情を浮かべる。その指にソウルジェムは・・・無い。
安心に一息のため息をついて、ほむらはまどかに語りかけた。
ほむら「鹿目まどか、あなたは自分の人生が尊いといえる?家族や友人も、大切だと思える?」
いつもの問いかけを、まどかに投げかける。
いつかさやかに電波と言われ、あのマミにミステリアスで素敵とまで言われた言葉だが
これはまどかに"これから起こるであろう事"に対する警戒と、緊張感を持たせるための大事な儀式だ。
その問いにまどかはきょとんと目を丸くして黙り込んでしまった。
ほむら(しまった・・・いきなり言われたから焦って言ってしまったけれど、普通小学生にこんな事言っても引かれるだけよ・・・っ)
「中学生でも十分引くっての!!!」サヤッ
とメタ視世界から何かのつっこみが聞こえた気がしたがあえて無視して
ほむらはまどかの返事を待つ・・・ほむらが思っている以上に、まどかはその質問の意味を理解しているようだった。
まどか「私は、大切だよ。家族も、周りにいる友達たちも」
ほむら「なら・・・・・・」
まどか「だから、私は今の私のままで強くなりたい。変わるって言うことは、すべてを失うことだから」
ほむら「え・・・・・・」
まどかが言いきったことに、ほむらは愕然とする。
中学生の頃のまどかでさえ言い返すことのできなかった問いと答えを、このまどかは平然と答えきってしまったのだ。
幼いが故の、無知であるが故のあきめくらな言葉でもなく、確かにその答えはほむらが幾度ものループの中でまどかに伝えたかったことだった。
感動と同時に、寒気がほむらをおそった。
ほむら(この子・・・本当に小学生の頃の・・・いいえ、本当に、"鹿目まどか"なの・・・!!?)
まどか「ほむらちゃんも、私の友達になってほしいな、なんて」
ほむら「喜んで!!!!」ビシッ
まどか「ウェ・・・」
ほむら「あっ・・・・・・」
気まずい沈黙が無人の廊下を支配する。耐えかねて声を出そうとするも、ここまで変なことを言っておいてかける言葉などほむらは予定に持ち合わせていなかった。
ほむら「あっ・・・あの・・・」
まどか「うんっ、ほむらちゃんはわたしの大切な友達だねっ」
ほむら「・・・うん、よろしく・・・」
まどかの笑みにほむらは心から安心し、ループを始める前の弱気だった自分に戻っていることに気づいて顔を赤くした。
やってしまった、しかし自分がまどか以外にこんな反応をすることもないはずだ。
この失敗もまた、彼女が鹿目まどかであることの証明なのではないだろうか多少の違和感を感じつつも、ほむらはまどかが差し出した手を握り握手を交わした。
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