過去ログ - 許嫁「末永く宜しくお願い致します!」その5
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271: ◆vF1GrLS8msUg[saga]
2012/06/27(水) 21:30:38.76 ID:11Go0j4AO

引き取り先が決まらないまま、一人途方にくれていた所に、見知らぬおじいさんが現れた。

長い髭も髪も真っ白な、貫禄のある怖い顔をしたおじいさん。
でも、その目はなぜか優しく私を見つめていた。


 『儂は爺。 男の祖父にあたる者じゃ』


幼かったせいもあるけど、男くんにお爺さんが居たとは聞いたことがなかった。

それに、男くんは既に施設へ送られてしまった。
男くんを迎えに来たのでないのなら何をしにきたのだろう?

そう思っていると、お爺さんは私を引き取る、と告げてきた。

でも、この人が男くんのお爺さんならば。
私はどうなってもいい、男くんを助けてあげて欲しい。
しかし、その願いに対してお爺さんは首を振った。


 『……男の為なのじゃ。 それが、男にとって一番良いのじゃ……』


今の私にはその理由がはっきりと分かるけれど、当時の私は何故男くんを助けてあげないのか理解できなかった。
……でも、この人が男くんの事を思っているのだけは、分かった。

なぜなら、お父さんと同じ優しい目をしていたから。
だから、私はこの人のお世話になる事を決めた。

この人の傍に居れば、いつかきっと男くんと再び出会えるだろうから。

この日、私は生まれ育った家を後にした。




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