過去ログ - 許嫁「末永く宜しくお願い致します!」その5
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◆vF1GrLS8msUg
[saga]
2012/07/01(日) 23:11:08.28 ID:ZjsrLCNAO
その日、メイドが照れくさそうな顔をしながら部屋に入って来た。
どうしたの? と聞くと、高校へ転入する事が決まった、と打ち明けてくれた。
それを聞いたとき、私は嬉しくてベッドから飛び降りメイドに抱きついてしまった。
この時、涙を我慢出来ていたか正直自信がない。
屋敷に引き取られてから、メイドは毎日欠かさず勉強をしていた。
使用人として働き出す前も、働き出した後も。
最初の頃は私と並んで家庭教師に教えてもらっていたから、多分当初の学力は私とそう変わらなかったのだと思う。
なにしろ、メイドも私も小学校すらほとんど通えていなかったから。
それから1年。
元の学力がどうあれ、メイドの実年齢はこのとき17歳。
小学校低学年から高校2年まで学力を引き上げるのに、どれだけの苦労があったのかは計り知れない。
なぜそんなに勉強するのか不思議で、一度聞いてみたことがある。
メイド自身は学校に行くつもりはないと言っていたから、それほどハードに勉強をする理由がさっぱりわからなかったからだ。
メイドは最初口ごもっていたけど、恐る恐る口を開いて。
『学ぶという事が楽しいんだ。 ……私は、学ぶことすら許されなかったから』
それを聞いて、当時の私は何が面白いんだろう? と理解出来なかった。
それが理解出来たのは、もう少し後になってメイドの過去を知ってからだ。
私は病気の為学校に行けなかっただけで、学ぼうと思えば学ぶことが出来た。
でも、メイドは違う。 学ぶことが許されない環境にいたのだ。
……めったに人を憎まない私が初めて人を憎んだのはそれを知った時かもしれない。
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