過去ログ -  垣根「私は神だぁ!」 上条「・・・・」 一方通行「なんだぁ?」
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66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/12(火) 22:26:08.34 ID:n4IIOjEKo

「――あらぁ、素敵」


まるで、鉄筋を無理やり曲げて球形に整形するような歪な音を、白衣を赤く濡らした研究者――木原病理は、愉しげに聞いていた。


「――こんなところにも、諦めの悪い子がいたんですねぇ」


そして、見ていた。

先ほどまで、ちょっとしたオフィスビルのワンフロアほどもあるこの研究室の中央を、堂々と占拠していた巨大な装置。

その一部分である透明な水槽には三つに分断された脳が浮かび、視界には映らないものの、装置内部には他にも、元・『未現物質』の肉体の一部が保管されているはずだった。

既に、人ならざる、ただのたんぱく質や脂質などの混成物。

そこに、再び人の魂が宿ることなど、あるはずはない。

……だが。


彼は、一度死した身でありながら、その常識を凌駕する。


しばし後、研究室に響いていた音が、鳴り止んだ。

そして、びちゃり、と、水たまりを踏むような音が響く。


「……始めましてですねぇ、『未現物質』。私は、木原病理といいます」

「……ああ、始めましてだ」


「――そして、さよならだ。」




人の気配が無くなった研究室に、残されたものは三つあった。
一つは、原形を留めぬほどに歪まされ破壊された、巨大な装置。
一つは、愛する妻の身を案じながら、成すすべなく破壊された、哀れなる研究者。
そして一つは、学園都市屈指の天才と評される一族の出身である、女性の残骸だった。


反逆に手を染め、敗北し、そして地の底まで堕ちた天使。彼は、とうとう冥府より舞い戻った。
       ルシフェル
これより、『光を掲げる者』の反逆が、再び始まる。


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