過去ログ - 真、まことの剣豪
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110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/06/02(土) 23:37:39.11 ID:cmlmztc50

左足を前に、右足は後ろ。

半身に構える。

対剣術に対して普通は、
右足を前に、左足は後ろのほうが有利ではある。

しかしあずさにはそんなことは関係のないことであった。

この薙刀で、敗れたことは一度しかない。

ふい、と切先を下に落とした。

男は、猛然と斬りかかる。

あずさ、右足を軸に左足を引く。

体が変わる。

今度は右足が前に。

間合いが躰一つ分後退する。

空を斬る刃。

刀は返させない。

左肩を石突(いしづき)で撃つ。

骨が砕ける音。

血が流れる。

侍は膝をついた。

剣を落とす。

あずさ、そのまま右手を引き、

左手を前に出す。

真円を描いてはいけない。

それでは遅すぎる。

楕円より、
さらに細く。

迅く。

地面と足元、接地面が発する、びっという音。

相手の胸を突く。

あずさ、もう半身(はんしん)分、踏みこむ。

手は抜かない。

躰に、深く刺さってゆく。

そして、貫いた。

侍が最期に見たのは、美しい女の、慈愛に満ちた表情であった。



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