212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/06/23(土) 21:34:27.80 ID:l9ykQD6T0
「案ずるな、遠くまで上手く逃げられれば。
仕損じて追手がかかっても、
この剣の腕があれば、なに、めったなことで斬られはせん」
「奉行所の如月様とそのご友人の菊地様の噂はご存知でしょう?」
着物の袖を口元にやりながらゆきほは言った。
「それは、もう。
こちらから手合わせ願いたいほどだ」
興奮した様子で、男が返す。
「危のうございますよ」
「とにかく、決めたのだ。
これでもずいぶん悩んだ。
しかし、お前も外へ出て自由に暮らしたくはないのか?
何にも縛られずに、いつでも、したいことをする。
そんな生活を。
そうだ、小料理屋でも始めよう。
きっと、今よりずっと楽しくなるはずだ」
実際、とても魅力的な申し出であった。
この男は自分のために勇気を出して行動を起こそうとしてくれている。
だが、実際に外の世界に出るとなると、
これほど恐ろしいことはない。
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