219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/06/23(土) 22:01:48.82 ID:l9ykQD6T0
その直前で止めた。
「俺の負けだ」
「お主は遊郭から逃げる時に一人斬ったな。
このまま捕まれば死罪は免れぬぞ」
「ここで腹を切る。
介錯を頼めるか?」
「あの女子はどうする」
「俺が勝手に外に出してやったのだ……ゆきほに罪はない。
どこか遠くへ、逃がしてやってくれ」
「そうしよう」
千早太は頷いた。
「かたじけなし……」
「なに、仕事熱心なほうではないのでな」
真之丞は、それからみきも、離れた場所から見ている。
命が散る様を、
目を逸らさずに。
それが生の、
確かに生の価値であるかのように、
この場にいるものは、決して。
「私がこれから生きて行くことが、何より、あなたがいた証です」
胡桃色の髪が、ほんの小さく揺れた。
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