253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2012/07/08(日) 21:57:06.81 ID:rk+SvYZs0
隣にはひびきが座っている。
秋月屋で刀を新しくしたその時に思い切って、この娘を茶に誘ったのだ。
真之丞は人生の半分ほどの度胸を使った心地がした。
この先は節約が必要だとぼんやり想いながら目の前の女子を見やる。
結ってあった長い髪が今は銀色の簪で留めてある。
突然、雨が降ってきた。
天候に普段差別的な目を向けている真之丞は、いきなり天気が悪くなったことに怒りを覚えた。
まさに水を差された思いだ。
「降ってきたな」
「ええ、本当に」
しかし、このように短い会話でも幸福を味わえている。
「真、某はそろそろ奉行所に帰る。
が、お前はひびき殿を連れて家に帰れ。
雨宿りだ」
「なんだと?」
ひびきを家に連れ帰ると聞いて驚いた。
「ここからでは秋月屋は遠いからな。
雨も降っていては何かと危なかろう、娘一人では」
人であろうと、植物であろうと、雨は恵みだ。
天候を差別することなどは道理ではないと思いなおして真之丞は頷いた。
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