257:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2012/07/08(日) 22:26:12.83 ID:oSI146ZD0
「う、んんっ」
身をよじるのを抑えつける。
整った曲線を描く腰に左手で触り、掴む。
もう片方の手で自分のものを握り、ひびきの秘部にあてがおうとする。
その瞬間、銀色が閃いた。
避けられなかった。
本能的に庇おうとして、左手を出す。
そこに鋭いものが突き刺さった。
色は鈍い銀色である。
先端が刃物に加工された簪、であった。
「ひびき殿、どうして……」
驚愕しながらも、必死で声を出す。
流れる血が、肱を伝って、ひびきの躰に滴り落ちる。
それを見て、綺麗だと思ってしまった。
しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。
「江戸一番の剣客のあなたの命が欲しい者はたくさんいるのです。
そして私は刀鍛冶屋の娘ですが、人知れず殺し屋として育てられました」
話ながら、その瞳は涙で滲んでいた。
「私は、真様と結ばれて、普通に生きることなどできはしません……」
溜まった涙が、勢いを堪えきれずに、頬を流れている。
どくどくと、血が止まらない。
「それでも、愛している。
今からでも、きっと。
これから一生、ひびき殿を、私なら守れる。
もう一度訊こう、私の妻に……」
薄れゆく意識の中で、必死になって話す。
ひびきからの返事は、聞き取れず、
真之丞は、豊かに盛り上がった胸に、倒れ込んだ。
338Res/186.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。