274:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/07/15(日) 20:46:12.82 ID:StkKHyuC0
「真、一大事だ」
突然、千早太が駆けこんでくる。
「どうした」
「みきが昨日から帰っていなくてな。
おそらく四条院の屋敷だ、書き置きがあった」
「ちょうど良いのか分からぬが、私はまさにそこへ行こうとしているところだった」
「なれば二人で」
「いや、それはできない。
貴音姫と話さねばならぬことが一つある」
「ひびき殿のことか、今はどこに?」
その問いに真之丞は、左手を見せて答えた。
「蔵だ」
「なんだ、その傷は……まさか?」
千早太は驚きながらも、考えを巡らせているようだった。
彼は頭の回転が速い。
「そうまでされて、妻にするということか」
「そうだ、しかし、今はきっと分かってくれる。
ひびき殿も望まぬ人生を送ってきたのだ」
真之丞が力強く答えた。
「だからだ、私一人で行く。
みきのことも任せろ、何とかする故」
しばらく俯いて黙っていた千早太が、
顔をあげ、言う。
「任せた。
が、無茶はするなよ、
某が見ておらんと、心配でいかんな」
いつもの、軽い笑顔を見せた。
338Res/186.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。