過去ログ - 真、まことの剣豪
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276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/07/15(日) 20:55:20.27 ID:StkKHyuC0

十二

「なるほど、話は分かりました。

この娘は返します。

人の屋敷に忍び込んだ代償は、いただきましたから」
冷たい瞳で視線をくれながら、貴音姫は言う。

下唇を細い舌で舐めながら、続けた。

「しかし、何ですか。

ひびき、という娘を嫁にする、それは許せません」

「そのお許しを頂戴するために参ったのです。

おいそれと帰る訳にはゆきませぬ」
傍らに、ぐったりとしたみきを抱えながら、言葉を返した。

「真、それでは、あなたを消すほかありませんね」

「どうかご勘弁を」

頸筋を、冷や汗が伝った。

「いいえ。

あなたの命をいただく他に、
真殿が私のものになる術はないようですから」

どこから出したのか、貴音の手には小刀が握られていた。

この状況はとてもまずい。

危ないと分かっていたが、死ぬようなことになるとは。

自分の認識の甘さを悔いていると、貴音が飛び込んできた。
「さようなら、真!」



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