過去ログ - 律「うぉっちめん!」
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73:律「うぉっちめん!」 [sage saga]
2012/06/04(月) 22:16:23.24 ID:Lp/b32q40



数十分の後。
とあるマンションの地下駐車場に車が停められ、中から仏頂面の澪が出て来た。
澪の自宅。それは都内一等地の高級マンションであり、彼女の他にも大物タレントやスポーツ
選手、実業家が居を構えるセレブリティ・パレスだった。
しかし、華やかな高層宮殿とは対照的に、地下駐車場は暗く、冷たく、どこか物寂しい。
その無機質な雰囲気に包まれ、幾度と無く溜息を吐きつつ歩く澪。
そして、後方より近づく、ひとつの影。

?「秋山澪さん」

澪「誰!?」ビクン

恐怖の入り混じった驚きが、澪を振り向かせた。
少し離れた車の陰に、さえない風体の男が一人立っている。

?「ああ、こりゃ失礼。驚かせてすみません。私、フリーのルポライターをやってる
  もんでして」

澪「ここは住人以外、入れない筈でしょう! 何をしてるんですか!」

ルポライター「そうそう、そうなんですよ。いやあ、入るのに苦労した苦労した。まったく
       因果な商売ですよ。ハハッ」

澪「すぐに出て行って下さい。警察を呼びますよ」

ルポライター「ふむ。では、パトカーが来るまでの数分でいいんで、ちょっと取材させて
       頂きたいんですがね」

澪「話す事なんて何もありません! 早く出て行って!」

ルポライター「まま、そう言わずに。実は先週の平沢唯さん殺害に関して聞きたいんですよ」

のれんに腕押し。糠に釘。柳に風。
澪の警告も罵声も、ルポライターはのらりくらりと受け流す。

澪「知りません!」

ルポライター「おととい17日に犯人が逮捕されたのはご存じでしょう? しかしねえ、どうにも
       妙な点があってですねえ。怪しい臭いがプンプンなんですわ」

澪「……」クルリ ツカツカツカ

澪はルポライターを無視し、エレベーターの方向へと歩き出した。
だが、こういった自称ジャーナリストの手合いが、そんな事にめげる筈も無い。
彼女の後を追いかけ、自分勝手に話を進める。

ルポライター「まず、犯人の素性が全然報道されないんですよ。名前と、部屋が漫画やアニメ
       DVDだらけのキモいオタク野郎って発表くらいで、他の情報がさっぱりでね。
       報道規制でも敷かれてんのかってなもんです」

澪「……」ツカツカツカ

ルポライター「この隠し方からいくと、もしかして在日某国人か某新興宗教関係者かとも
       思ったんですが、それもどうやら違うみたいでして。犯人像ってヤツですか?
       それが全然わからんちん。もう、お手上げ」

澪「……」ツカツカツカ

ルポライター「……秋山さんと平沢さん、かなり不仲でしたよね。これは業界じゃ何故か
       アンタッチャブルですが」

澪「……!」ピタッ

ルポライター「秋山さん、もしかしたら何かご存じなんじゃないんですか? 他の連中にゃ
       わからない、あなた達の間の何かを」

澪「……!」プルプル

ルポライター「まあ、誰にでも殺したいくらい憎い人間ってのはいますからねえ。『金がすべて』
       なんて言葉があるけど、金さえありゃあ大抵の事は片が付いちゃう世の中ですし。
       ああ、『可愛さ余って憎さ百倍』なんて言葉も――」

澪「うるさい! お前に私と唯の何がわかるんだ!!」クルリ

ルポライター「そうそう、それそれ。そういうのを是非聞かせて頂きたいんですよ」ニヤニヤ

澪「うるさぁあああい!! もう放っておいてくれ! 一人にしてくれ!」ダッ


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