過去ログ - 姫「勇者を探しに行く」
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54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/05/24(木) 23:01:07.85 ID:GqizOqNDO
〜 北部 〜

ポチに乗った姫と、その後ろを歩く錬金術士は川を渡って王国北部にたどり着いた。

姫「とうとう北部に入ったか」

錬金「ええ、そうで……だな」

姫「ふふ、お前もわかってきたな」

錬金「おどされ続けりゃさすがに、ね」

ポチ「きゅー」

錬金「それで、これからどうする? 街道に戻るか、それとも……」

姫「旅の目標として、私は伝説の勇者を探さなくてはならない。
それを成す前に王宮へと戻されるわけにはいかないのだ」

錬金「なら、このままコソコソと北上だな」

姫「うむ、ところでお前は北部の地理に詳しいか?」

錬金「多少は、ただ机上の知識だが」

姫「十分だ、私よりはマシだろう」

そう言って姫は笑みを浮かべ、錬金術士を手招きした。

錬金「?」

姫「ポチに乗って先導してくれ、イヤとは言わせないぞ?」

錬金「うっ」

錬金術士は言葉を詰まらせた。
先ほどは上手く断ったのだが、今の姫には笑顔の裏に有無を言わせぬ妙な迫力がある。

姫「ほれ、早く乗らないか」

錬金「……仕方ないな」

錬金術士もバカではない。
これが姫なりの気遣いだとは分かっている。
ここで断るのは逆に失礼だった。

錬金「せいのっ、と」

よって、錬金術士は姫に促されるままポチに手を掛け──

ポチ「きゅー!」

錬金「ぐべらッ!?」

べちこーん、とポチのシッポのフルスイングをくらい、空高く跳ねとばされた。


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