過去ログ - 女神・2
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48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/26(土) 23:14:58.68 ID:fu2ZDHVao
 翌朝も妹は正確に七時半に僕の家に寄ってくれた。僕は玄関先に出て妹が来るのを待っていた。家の前に立っている僕に気づいた妹はすぐに顔を明るくして僕の方に寄って来た。

「おはよ、先輩」

「おはよう」

 もう僕たちはそれ以上余計なあいさつをせず、すぐにどちらともく手を取り合って自然に同じ歩調で学校に向った。付き合い出してまだそう日は経っていなかったけど、この程度の日常的な行動を取るにあたり僕たちはもうお互いに言葉を必要としなかった。そのことが僕には嬉しかった。沈黙していてもお互いに不安になるどころか心が安らいでいる。そういうことはどちらかの一方通行の気持ちでは成り立たないことだったから、僕はもう僕の隣で沈黙している妹が何を考えているのか悩むことはなかった。そして、それは多分妹も同じだったろう。

 お互いに言葉は必要とはしていなかったけど、僕たちは互いに握り締めあった手の力を強めたり肩をわざと少しぶつけ合ったりという恋人同士ならではのボディランゲージをぶつけ合っていた。手を握るタイミングが偶然一致した時、妹は大袈裟に驚き痛がる振りをしながら僕の方を見上げて笑った。

 そんな言葉すら必要のない会話を重ねながら歩いていくとそろそろ校門に近づいていた。その時、妹は同級生らしい女の子に声をかけられた。

「妹ちゃん、おはよ」
 校門の前で、ショートカットにした黒髪が可愛いらしい一年生の女の子が妹に笑いかけていた。

「おはよ」
 妹は友だちの姿を見つけても僕から離れようともせず、相変わらず僕の手を握りながらショートカットの彼女にあいさつした。

「えーと」
 妹の友人が好奇心に溢れた目で僕の方を眺めた。

「もしかして、妹ちゃんの彼氏?」

「うん、そうだよ」
 妹は少しだけ顔を赤らめたけど別に否定することもなくさりげなく言った。

「彼、三年生なの。生徒会長なんだけど」

 彼女は僕の方を見て人見知りする様子もなく言った。

「あ、あたし先輩のこと知ってます。4月の新入生ガイダンスの時あいさつしてましたよね、まさか妹ちゃんの彼氏だとは思わなかったですけど」


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