50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/26(土) 23:22:06.36 ID:fu2ZDHVao
「うわあ。そこまで照れずに堂々と言われるとからかい甲斐がないわ」
妹友があきれたように言った。「あんたって本当に自分に自信があるのね。そうでなきゃそんなこと普通は言わないよね」
それに対して妹は妹友に何も答えなかった。そして妹友の感想にもとり立てて悪意はないようだった。ただ、妹は僕の手を一度離して今度は両腕で僕の左腕に抱きついた。
「邪魔しちゃ悪いみたいね」
それを見守っていた妹友も悪びれずに妹に言った。
「ごめんね。いつも授業が始まるまでは先輩と一緒にいることにしてるから」
妹も別に友人に遠慮することなく言った。
「うん。邪魔してごめん、じゃあ妹ちゃんまた後でね。先輩、失礼します」
妹友が何か颯爽という印象を残して消えていった後、僕たちはいつものとおり誰もいないパソ部の部室に向った。
「先輩、びっくりしたでしょ」
妹が僕の腕から手を離して椅子に座って言った。「あの子って全然遠慮がないから」
「いい友だちじゃない」
僕はようやく落ち着きを取り戻して言った。もう妹の僕への好意、いや愛情は疑いようがなかった。それは自分に対して自信がない僕ににも今では理解できた。そして自分の同級生に向って僕のことを恋人だと堂々と公言した妹の言動を考えると、もう僕の中には妹に対する一片の疑いさえ消えてなくなってしまっていた。
「あたしね。先輩と恋人同士だってこと隠したくはないけど、かと言って自分からぺらペら喋って回るわけにもいかないし。そういう意味では今日妹友ちゃんに目撃されてちょうどよかったかも」
妹は僕の手を引いて自分の隣の椅子に腰掛けさせた。そしてどういうわけか悪戯っぽい笑顔で僕を見つめた。
「先輩、妹友ちゃんって可愛かったでしょ」
「え」
緊張していたためよく覚えていなかったけど、そう言えば妹友さんはショートカットが似合う活発な印象の女の子だった。
「浮気しちゃだめよ?」
妹が言った。「あたしってすごく嫉妬深いんだから」
「そうは見えないけどな。それに浮気されるなら僕の方が君に浮気される確率が高いんじゃないかな」
それは僕と妹との容姿とかリア充率とかそういうことから口に出しただけの何気ない言葉だったのだけど、意外なことに妹はその言葉に過剰に反応した。
「それ、どういう意味?」
「どういうって、別に」
「先輩、あたしのこと信じてないの?」
僕は意図せず地雷を踏んでしまったようだった。
「そうじゃなくて。君のことは大好きだから信頼もしてるよ。でも、君が変なことを言うから思わず」
「あ、そうだね。ごめん。あの子、男の子に人気があるからつい嫉妬しちゃった」
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