6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/23(水) 23:17:14.43 ID:ekos52i6o
「先輩はもうあたしには興味がなくなっちゃった?」
妹の柔らかい言葉が僕の心に響いた。
「女さんとお兄ちゃんのことばっかり気にしてるあたしなんかにうんざりしちゃったかな」
「そんなことはないよ。約束どおり明日から僕は、女さんと兄君を別れさせるために」
「そんなこと聞いてないじゃない」
突然妹が初めて感情を露わにして言った。「女さんとかお兄ちゃんのことなんか今は聞いていないでしょ」
妹は僕の方を見つめた。
「先輩が今でもあたしのことを・・・・・・その、好きかどうか聞いてるんじゃない」
「・・・・・・本当に僕なんかでいいの?」
僕はもう自分自身を誤魔化すことを諦めた。振られて傷付くなら一度でも二度でも一緒だ。僕は心を決めた。一度振られたつもりになっていた僕だけど、ここまで言われたらもう一度ピエロになろう。その結果妹に利用されたとしてもそれはもはや今の僕には本望だった。
「今でも僕は君のことが大好きだけど・・・・・・」
その時、妹の冷静な表情が崩れ彼女は静かに目に涙を浮かべた。
「先輩って本当に女心に鈍いんだね。あたし、手を握ったりキスしたり一生懸命先輩にアピールしてたのに」
「その・・・・・・ごめん」
僕は何を言っていいのかわからなくなっていたけど、期待もしていなかった妹の好意への予感は急速に胸に満ち始めていた。
「女の子にあそこまでさせておいて、何も反応しないって何でよ? 先輩って今までいつも女子にここまでさせてtaの?」
妹は涙を浮かべたままだったけど、ようやくいつものとおりの悪戯っぽい表情になった。
「そんなことはないよ。だいたい僕はこれまでもてたことなんかないし」
「嘘ついちゃだめ」
妹は見透かしたような微笑を浮かべた。
「先輩、中学時代にすごくもてたって。先輩と同じ中学の子に聞いちゃった」
それは陽性転移だ。でもこの場でその言葉を口に出す気はなかった。妹がかつて僕が女の子に人気があったと思い込んでいるなら何もそれを否定する必要はない。
「あと絶対副会長さんって先輩のこと狙ってると思うし。この間だって副会長さん、あたしたちに嫉妬してたよね」
「それはない」
僕は即答した。少なくともそれだけは妹の勘違いだった。
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