過去ログ - 氷菓に不満があったのでSSを作ってみた。
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その4
2012/05/24(木) 19:35:01.43 ID:KdslAUbA0
「糸魚川先生、ちょっとお話を聞きたいんですがよろしいですか?」
氷菓の2号を持って話しかけると、やっぱりねという顔で頷いた。準備室に招かれて、説明を受けた。
「当時、学園紛争とか起きていて、この学園も荒れていたのよ。先生方は文化祭を平日5日間も必要ない
から2日にしよう、生徒は、俺たちの自由を奪うのかが、一番の揉め事だったかな。その生徒側で、リー
ダーとされていたのがこの文集を作った、関谷純という人で」
「あ、その人がわたしの伯父なんです。わたしが氷菓を読んだとき、衝撃的なことを教えてくれたはず…」
えるが思わず立ち上がって、声を上げた。
「そうなの?それで、生徒の授業ボイコットやキャンプファイヤーとかしているときに偶然だと思うんだ
けど、火の粉が格技場に燃え移って、消防車が消火したんだけど焼け落ちてしまったの」
糸魚川先生は、淡々と語っていく。
「生徒は先生側が放火したと言い、先生側は生徒がわざと火の粉を飛ばしたと大騒動になったとき、関谷
さんが、先生側に話を付けに行って、リーダーである自分が不注意で格技場を燃やした事にして退学します、
しかし、文化祭5日間の要求を飲んでもらえば、この騒動に終止符をつけると。」
そんな経緯があったんだと俺らは感心して聞いていた。
「というわけで、先生方は警察沙汰になるのを嫌い、要求通り文化祭の期間は今まで通りとなったわけ。
実際は、関谷さんは表のリーダーであって、裏で動いていた、真のリーダーが居るんだけど、それは不明
のまま、彼は全ての負い目を負って去ったわけ」
「その心中をこの"氷菓”に記したのよ。その後、彼は英雄扱いされ、文化祭がカンヤ祭と呼ばれるのは、
関谷を音読みして当時を忍んでいるからよ」
「ヒドイ話ですね。それで、える、何か思い出したか?」
「…伯父さんは、わたしが小さいからもっと簡単に説明したと思うんですけど、当時の苦悩が彼を怖い顔
にして、"強くなれ、弱かったら悲鳴も上げられぬ日が来る。そうしたら生きたまま死ぬことになる"と聞
いて、"生きたまま死ぬ"なんて理解できなくて凄く怖かったんです。思い出しました」
「結局、スケープゴート(生贄)にされただけで、関谷さんは何の得にもならない英雄扱いされただけ、か。
先生、この表紙なんですがどういう意味なんでしょうか?」
摩耶花がさっそく毒舌を吐いたよ。
「権力の犬の先生側と、か弱い存在の兎の生徒に例え、その争いを描いたのでしょう」
「言葉が過ぎるぞ、摩耶花。それにしても文化祭にそんなエピソードがあったとは思いませんでした」
一応、里志がたしなめた。
「わたしは、伯父の話を聞いて怖くなり、よく判らない仕組みに巻き込まれて酷い目に遭わないように、
物事の仕組みやシステムに興味が行くようになったんです。モヤモヤしていた事が、ほんとすっきりし
ました。皆さん、有り難うございます」
えるは、深々と頭を下げている。
「える、その、関谷さんは、その後、どうなったんだ?」
「はい。マレーシアに渡航して、インドのベンガル地方で消息を絶ってそのままです」
「壮絶な人生だな。良かれと思ってしたことで人生を誤ったのか」
「私から話せる事は、これくらいよ。他に質問がなければ、これでおしまいにします」
「糸魚川先生、どうも有り難うございました。一生の悩みと思っていたのが解決しました」
「では、あなたたちもがんばってね」
先生は、仕事に戻ったので、俺たちは、すっきりした気持ちで部室に戻ることにした。
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おわり
色々変えちゃいましたが、この方が俺にとって楽しいので(^^;
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