99:62 ◆6sOGwos0tc[saga]
2012/05/31(木) 20:27:12.91 ID:H/SWMSSm0
「なあ美希、『刷り込み』って知ってるか?」
俺は美希の横に並んで、池のカモ達を見る。その目線の先ではカモのお母さんがヒナ達を連れて泳いでいた。
「カモ先生達が、生まれて一番初めに見たものをお母さんだと思い込むってやつだよね?それがどうしたの?」
「俺はな、お前が俺に対して持っている好意も、それに近いんじゃないかと思うんだよ」
「………っ!!そ、そんなコト………っ!!………ないの」
俺の言葉に美希は強く否定しようとしたが、思い当たるふしがあるようでその声は小さくなっていった。
「人間なんてのは単純な生き物なんだ。近くに居て優しくしてくれるだけで、こいつ俺に気があるのか?とすぐに勘違い
してしまう。大人の俺だってそうなんだから、多感な成長期のお前らだったら尚更だろうな」
美希は黙って聞いている。俺は美希の方を見ずに言葉を続ける。
「お前らアイドルはその立場上、家族以外の異性とあまり親しくなったり出来ないから、ついつい身近にいる若い男の俺に
そういう気持ちを抱いてしまうんだと思う。しかしそれは所詮刷り込みによるものだから、今回のように俺より優秀で
恰好良い若い男が来たら、そっちに靡いてしまうのも無理はない。それはごくごく自然なことだよ」
それに好きと一言で言っても、その種類は色々あると思う。ビジネスライクな付き合いとか、兄を慕うような気持ちとか。
亜美や真美ややよいなんかは、まだそれがよく分かってないだろう。だから俺も変に気を持たせないように、アイドル達の
プロデュースにあたっては細心の注意を心掛けている。好意という気持ちは、そんな色々な好きと簡単に錯覚してしまう
からな。そこから始まる恋愛もあるかもしれないが、しかし俺は立場上、それを認める事は出来ない。
「そんな………、そうだったの………?ミキはプロデューサーだったら誰でも良かったの………?」
さすがにショックを隠せない様子の美希。まるでこの世の終わりのような顔をしている。特に美希は惚れっぽい感じの
女の子だからなあ。それにハニーハニーと恥ずかしげもなく俺にべたべたくっついていたから、事実を知った衝撃が大きい
のだろう。
480Res/278.19 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。