294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/06(水) 13:58:53.39 ID:Jic4PqMQo
家に帰ってから、俺たちはぼんやりと時間を過ごした。
幼馴染は結局夕方ごろまでうちでぼーっとしていた。
俺をからかうのも早々に飽きたらしく、帰る頃にはいつも通りの顔をしていた。
「それじゃ、また明日」
幼馴染は帰り際そう言ったが、明日は日曜日だったので、俺は聞き間違いだと思うことにした。
幼馴染が帰ってから、俺と妹はしばらくリビングで過ごした。
そういう時間を持てたのは久しぶりのことで、俺は少なからず緊張した。
やがて妹は、ぽつりと、
「付き合ってるの?」
と言った。特に思うところのなさそうな言い方だった。
「いや」
否定する。やはり、何かの感情を浮かべることもなく、静かに頷くだけだった。それ以来会話は途切れる。
昔から、こいつは自分の感情を素直に表さないところがある。もう少し素直になってもいい。
……偉そうに兄面できるような立場じゃないにせよ。
その日の夜は雨が降った。バケツをひっくり返したような強い雨だ。
雨音はうるさいのに、睡眠の邪魔にはならない。思えば不思議なことだ。
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