685:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/25(月) 21:19:32.80 ID:abHs6vdFo
どうせ映画を観ている最中は声も言葉も交わさないわけであって。
俺は今朝は眠かった。だから寝たい。寝よう。
俺は寝た。
ふと目を覚ましてスクリーンを見ると、女が泣いている。夜の部屋だ。二人きり。画面はやたらと暗い。
蛍光灯の灯りが寒々しい、フローリングの床で食器が割れている。
女はうずくまって泣いている。台詞がないまま男は静かに部屋を出た。
夜の繁華街に向かい、ひとりで歩いている。携帯電話が鳴った。どうやら友人かららしい。
突然呼び出され高架下に行く。
二人の関係性はよく分からないが、友人の方はさっきの女と主人公の関係に対して思うところがあるらしい。
真剣に、心配そうな言葉をだらだらと並べ立てる友人に、うんざりとした表情で主人公は言う。
「うるせえな、俺の勝手だろう」
友人は激昂して主人公に掴みかかる。主人公は抵抗すらしない。友人は殴らずに手を放した。
「分かったよ、勝手にしろ」
友人はそう言って背を向けて、足早に去っていく。ひとり高架下に残された主人公は、疲れ切ったような表情でその場に座り込んだ。
胸ポケットから煙草とライターを取り出す。口にくわえて火をつけようとするが、ライターの調子が悪くなかなか火が付かない。
彼はライターを近くの草むらに向かって投げ捨てる。しばらく火のついていない煙草をくわえたまま、じっと夜の闇を睨んでいる。
なにこの映画。
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