760:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/30(土) 22:07:51.04 ID:yIyBOkhco
“あなたみたいな人を好きになる女の子なんて、どこにもいないよ”
アキは呪いでも掛けるように、ことあるごとに俺にそういう言葉を向けた。
大抵の場合は人間性や生活態度について貶められた。
次に多かったのは容姿に関するそれで、あとはこまごまとしたどうでもいいいようなことについてだった。
“だってあなたは人間としてまったく魅力的じゃないから”
そして彼女は、最後に必ずこう言った。
でも、わたしはそんなあなたのことを愛しているし、あなたと一緒にいてあげる。
他の誰かが言ったなら、俺はその相手に病院に行くことを勧めただろう。
けれどアキには、そういった言葉を信じてしまうだけの説得力があった。
彼女の持つある種の性質が、おそらくはその言葉を信じさせたのだろう。
絶望的な気分にとらわれていたその頃の俺には、アキの言葉が、ときどき救いめいてすら聞こえたのだ。
1002Res/524.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。