214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/06/03(日) 02:05:14.24 ID:e5oNrG3DO
〜 数分後 〜
勇者「つまり、あんたは」
機姫「あんたではない、機姫じゃ」
勇者「……機姫は、海の中でずっと眠っていたと?」
機姫「左様、水圧で扉は開かぬし、無理に開いた所でワシは泳げぬ。
涙を飲んで玉座のスリープ機能に身を委ねたというわけじゃ」
勇者「玉座?」
機姫「頑丈なシェルターみたいなものじゃ。玉座には周囲の魔力をわずかながら吸収して動き続ける半永久機関があり、また機械族専用の延命装置も備わっておる」
勇者「へえ、それはすごいな。
……で、どのくらい海の中にいたんだ?」
機姫「わからぬ、ワシはすぐに眠ったし、玉座に日付を刻む機能も無い。……ただ」
ばたーん、と機姫は体育座りのまま横に倒れた
機姫「ワシがエネルギー切れで機能停止寸前になる程度には時間が経過しておるな」
そして機姫はニヤリと笑った。
勇者「何を勝ち誇った顔で死にそうになってんのアンタッ!? というか、そういうヤバイ事はもっと早く言ってくれ!」
勇者はヒザを曲げて腰を落とし、背中を機姫に向けた。
勇者「ほら、乗れ! 連れてってやるから!」
機姫「どこへじゃ?」
勇者「病院! 機械族も治せるから安心しろ!」
機姫「ワシは腹が減っておるだけじゃが?」
勇者「……は?」
機姫「ああ、腹が減ったのう……餓死しそうじゃのう……」
言いながら、機姫はチラチラと横目で勇者を見る。
勇者「分かったよ! おごってやるからさっさと乗れ!」
機姫「そうか、では頼む」
ズシン。
勇者「お、おもっ!?」
機姫「ワシのウエポンラックは頼んだぞ」
いつの間に立ち上がったのか、機姫は勇者の背中にウエポンラックを乗せると、その脇をスタスタと歩いて追い抜いていった。
勇者「ちょっ!? 歩けてんじゃねーかテメェ!?」
機姫「くっくっ、おぬしが良い奴で助かったわい」
機姫は両手を左右水平に伸ばし、裏道の先でクルリと回って見せる。
そして、勇者の方を見ながらパタパタと両手を振って声を上げた。
機姫「ほーれ、早くこんかー! ワシが餓死するぞー!」
勇者「ぐぎぎっ……! この野郎!」
勇者は歯ぎしりしながらも、素直にウエポンラックを背負ったまま機姫の後を追いかけていく。
一限目には、どうにも間に合いそうに無かった。
541Res/361.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。