387:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/08/08(水) 17:27:06.17 ID:Ubmo2rpDO
魔王「……アルラウネか、大きいな」
機姫「……」
魔王「どうした? ハトが豆鉄砲食らったような顔で」
魔王が怪訝そうに眉をひそめる。
だが機姫は魔王の方を振り向きもせず、唖然と、信じられないものを見たような顔で小さくつぶやいた。
機姫「ア、アルラ……か?」
魔王「アルラ? それはいったい……」
機姫「ワシの昔の友人じゃ……見間違えようもない! アルラーッ!」
機姫は魔王に言いながら、校門前の長老アルラウネに向けて手を振って走り始めた。
機姫「アルラ! アルラーッ!」
長老「う"ぃっ!」
長老アルラウネが腰を曲げ、走り寄ってくる機姫に両手を伸ばす。長老アルラウネの巨大な手は機姫をたやすく包み込んだ。
そして長老アルラウネはそのまま手のひらに機姫を乗せ、自分の顔の前まで持ち上げた。
長老「う"ぃっ!」
機姫「お、おお……やはりアルラか! 変わっておらぬ! デカくなったが、全然変わっておらぬ!」
長老「う"ぃっ」
機姫が長老アルラウネの鼻先に抱き付く。
長老アルラウネは少しだけくすぐったそうに目を細めたが、どうやらまんざらでもなさそうで、無理に機姫を引き剥がしはしなかった。
アルラ「ぴっ!」
その時、長老アルラウネの胴体を登って来るアルラウネの姿。
触手を使ってのそのそと這い上がって来るその姿を見た機姫は思わず声を上げた。
機姫「お前は……図書館前で会ったアルラ!?」
アルラ「ぴっ!」
ぴょいんとジャンプ。
小さいアルラが機姫の隣、長老アルラウネの手の上に飛び乗って来た。
そしてジェスチャーで機姫とやりとりを始める。
アルラ「ぴっぴっー」
機姫「なになに……年寄り……長老……自分が……教えた?」
アルラ「ぴっ!」
機姫「なんと! アルラがアルラにワシの事を教えてくれたのか! っと、何だかややこしいのぅ……」
アルラ「ぴっ!」
長老「う"ぃっ!」
二人のアルラは機姫に向けて柔らかいほほ笑みを浮かべて返した。
機姫「じゃが、昔のアルラに今のアルラ……ワシは決して孤独ではなかった、こんなに嬉しい事があるじゃろうか?」
アルラ「ぴっ!」
長老「う"ぃっ!」
アルラウネの群れ「ぴーっ!」
いまさら追い付いてきたアルラウネの群れが祝福の声を上げ、やんややんやと校門前が騒がしくなった。
魔王「……よくわからないが、一件落着……なのか?」
魔王は一人、荒れた校庭の中央にて難しい顔で腕を組む。
まだ花粉の影響が無い生徒たちも呆然としてアルラウネと機姫たちを見上げるだけ。
勝負は続けられそうもない。
魔王はやれやれとため息をついた。……が、
長老「……う"ぃっ」
不意に長老アルラウネの瞳が動き、その丸い瞳が魔王に向けられた。
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