494:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/09/16(日) 20:11:23.05 ID:/IwIbcFDO
船長「船の速度を上げるだって? どうすんだ?」
少女「……ええ、まずはこうやって指を鳴らす……」
──パチンッ。
アルラウネ「で? でっ!?」
少女「……すると、船が浮く」
船長「……は?」
船長が惚けたように聞き返すと同時、突然船首がぐらりと持ち上がり始めた。ついで、彼方まで延びゆく水平線も少しずつ下方のものになっていく。
船長が船の縁に走り寄って眼下に視線を投げおろすと、潮に埋もれているはずの船底が宙に、そして白波駆ける海の青がその船底の遥か下にあった。
少女の言った通り、船は浮いていた。
船長「は? はぁああぁぁッ!?」
少女「……この船は魂の塊、だから空も飛べて不思議じゃない」
船長「いやっ! 言ってる事はわかる! わかるけどよっ!」
だがそうこうするうちに船の傾斜はどんどん鋭くなっていき、船首もすでに天を突かんばかりにそそり立っている始末である。
船長は小さく悪態を付くと操舵輪の元まで走り戻り、傾斜でずり落ちそうになるのを操舵輪に掴まってこらえながら号令を飛ばした。
船首「くそっ! 全員何かに掴まれ! 振り落とされるなよ!」
ガイコツ「アイアイサーッ!」
しかし、そんな船長の片腕に抱かれながら非難の声を上げるのが一人。
アルラウネ「号令するのはわたしなの!」
船長「ああもう! だったら早くしなさい!」
アルラウネ「はーい!」
アルラウネは大きく息を吸い、号令を飛ばした。
アルラウネ「しゅっぱーつ! しんこーう!」
少女「……おー」
しっちゃかめっちゃかで収拾のつかなくなった状態の船に、アルラウネの溌剌とした声が響き渡った。……が、まともに答えられた者は一人しかいなかった。
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