過去ログ - フィアンマ「アックアに性的な悪戯をしようと思う。安価が導くままに」
1- 20
92:グロ注意  ◆H0UG3c6kjA[saga]
2012/05/30(水) 15:27:20.19 ID:HUV671k80
>>89様 申し訳ありません》

右腕は肩から切断されてしまった。この身はただ、深く雪に沈んでいる。
切断面からは血液が大量に溢れ、白かった雪を赤黒く染め上げていく。
全身にダメージが浸透している以上当然自力で起き上がる事も出来ず、ぼんやりと空を見上げた。
突如として嘔吐感がせりあがり、そのまま横を向いて嘔吐すると、血液混じりの胃液が血まみれの雪を汚した。
雪に包まれていることもそうだが、大量に失血してしまったせいで酷く寒い。どうしようもなく身体が震える。
何がいけなかったのかは分からないが、とにかく、世界を救う事に失敗し、死の危機に瀕している事だけは感覚で理解できた。
雪は未だしんしんと降り積もり、俺様の身体を覆い尽くしていく。
このまま雪に埋もれて窒息するか、はたまた失血しきって意識を失い死に至るのか。
どちらにせよ、戦争を起こした張本人を拾い上げる様な奇特な善人も居ないだろう。

「…まぁ、それなりに似合いな最期かもしれんな」

何百年も前の『あの時』、既に死んでいるべき命だったのだから、別に構わない。
この世界は俺様の『救済』を拒否し、自分達で憎み合い嫉み合い妬み合い傷つけ合い生きていく事を望んだのだから、最早俺様の知った事ではない。
そもそも、俺様自身、望まれて産まれてきた子供ではなかった。死ぬべき人間だ。
生まれる前に母親から拒絶され、様々な理由によって堕胎出来ずに『仕方なく』産まれ、母親に似ているからと、只それだけの理由による温情で父親に育てられ。
しかし、まぁ、結局は捨てられてしまった訳なのだが。
力が入らず上がらない腕で、その指先で雪を握る。冷たい。
身体の何か所はどうやら凍傷にかかったらしく、じんじんとした痛みを感じる。
結局、俺様の生を望んだのは神位で、今はもう幸運すら尽きたらしい、神すら俺様を見捨てた。
『聖なる右』の術式でありとあらゆる箇所から幸運を一人占めしてきたのだから、右腕がなければその恩恵もほとんど無い。

「『神よ、何故私を見捨てたのですか』…ふん、『神の子』の心情も解るというものだ」

ありがちな茶番の戯曲の様に、誰かに惜しまれながら死んでみたかったものだが。
こんな事を思っている時点で、『免罪符』としての自覚が足りんのか。
此度の戦争による罪は一切合財俺様に着せられるだろうし、今ここで死んでしまった方が楽な事は楽だろう。
世界一幸運にして、最低な人生だった。
長い年月、ただ一度の成功を夢見て生きていた。
讃えられなくて良い、怯えられて構わない、ただ、人間が本来あるべき心に戻る手伝いを出来れば、それで良いと思っていた。
その為ならばどれだけの人間を傷つけてしまっても、この成功によって全てが報われると思っていた。
全てが、俺様一人の思いあがりによる勝手な行動だったと、そういうことなのだろうか。
いや、俺様の救いを拒否した世界が既に混沌として穢れており、正常な判断が出来なくなっていた、ただそれだけのことに過ぎない。

「……、…死を最初に『永眠』と表現した人間は優秀だな」

そろそろ本格的に身体が死ぬ準備に入ったらしい。
寒さを通り越して暑くなってきた。感覚が麻痺したらしく、痛みも消える。
この状態に至るまで随分と疲れきっていたらしく、強い眠気に目を閉じる。
はぁ、と息を吐きだす。ため息だ。
もう、これ以上は一分一秒とて一切の見動き出来ぬ現在の状況で生きていたくはない。
天使の迎え等来ないじゃないか、と思いながら、徐々にゆっくりとしたペースに落ちていく呼吸を繰り返す。
きっと、後8回位で終わる呼吸。

ざく、と雪を踏みしめる音。ふらふらとした、重い足取り。



段々と近づいてくる足音。敵意は感じなかった。



その近付いてきた『誰か』が、俺様の近くで屈みこんだ気配を感じる。



此処まで歩いてきただけで息が切れたのか間近で呼気の音がする。



顔にかかった雪を丁寧な手つきで払いのけられた。



今にも凍ってしまいそうな瞼を無理矢理に開けて、その『誰か』を視認する。



「……、…アック…ア…?」



「間に合わなかったようで、あるな。フィアンマ」



ゼロ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
388Res/220.70 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice