3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]
2012/05/28(月) 23:33:41.86 ID:/I28LKnko
店内の他の客がにわかに騒ぎ始めた、と思っていた途端に静かになる。
彼は何事か、と丸椅子をぎぃと回し、店内の中央に体を向けた。私も体を回す。
今でさえ暗い照明が、もう一段階落とされる。店内を照らすのは、テーブル席の中央に置かれている赤いキャンドルだけだった。
ぱっ、とグランドピアノにライトが当てられた。
タキシードを着た初老の男性が、艶のあるピアノを前に座り楽譜を立てた。
ぱっと、マイクスタンドにライトが当てられる。
かつかつ、とヒールを鳴らし黒いドレスを着た若い女性がライトで作られた円に現れた。
テーブル席から薄く拍手が上がる。
「あぁ、歌うんですね」
彼は得心したようで首を縦に振った。
「そうみたいだね。音無君も連れてきてあげればよかったかな」
「そういえば、音無さんって歌、上手でしたね」
彼女の歌を思い出しているのだろうか、彼は言った。
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