過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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15: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/05/29(火) 01:16:34.60 ID:MraeMU1Uo
闇の中、空気が蠢く。
やたらに粘っこい音が高らかに響き、闇に感じた気配が一気に収束していく。
背を向けていた彼女の背筋に走ったのは、悪寒などという「生ぬるい」ものではない。
本能が、ただ一つの言葉を警鐘を打ち鳴らす如くに繰り返す。
彼女の思考一切すべてがそれだけに傾き、他の思考を叩き出して。

―――逃げろ。逃げろ。逃げろ。逃げろ。

振り返る事無く、半開きの扉へと走り出す。
女王の脇をすり抜け、敷居をまたいだ、その瞬間。

腹部、足首、肩、胸。
全身に何かが巻き付く感触。


粘り気や不快感を感じるより先に、強烈な負荷とともに、一気に引き戻され――闇の中へと、引きずり込まれた。
眼の端に女王の姿が映り、それは、一瞬で遠くなった。

幼淫魔C「……な、何っ!?じょ、女王さまぁ!」

隣女王「…あなたが反省し、行動を少し改めてくれればそれでよかった。……でも、あなたはその全ての機会を蹴ったのです」

幼淫魔C「やだっ……!ね、ネバネバして……ひゃぁぁぁっ!?」

隣女王「……それでは、また明日の夜に来ます。その時には、お返事を聞かせてくださいね?」

視界を埋め尽くす触手の林に、扉をくぐる女王の姿を認めた。
彼女を独り、魔物とともに残して。

幼淫魔C「ま、待ってぇ!置いていかないでぇ!いや、いやだよぉぉっ!」

せめてもの情けか、女王が出る間際に、室内の蝋燭が全て灯る。
そして―――扉が閉まる無慈悲な音が、竦ませるように響き渡った。



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