過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その８ -SS速報VIP

過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その８

↓ 1- 覧 板 20

787:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[saga]
2012/07/06(金) 23:49:43.38 ID:CUuy7OLFo
ぱたり、と袁術は寝台に身を横たえる。
……如南防衛はこの上なくいい感じで推移している。

如南に好景気をもたらした袁家は既に熱い支持を得ており、民草はこぞって戦線に加わろうとすらしている。
もっとも、素人の面倒を見るほどに余裕のない軍部はそれをいなすのに必死ではある。
使い物になる、兵役経験者は既に実戦に投入され、戦果を誇っているのである。

それでも、今にも城壁を乗り越えて襲いかかってくるかもしれぬ敵軍。
初めての実戦が死戦。その精神を試される防衛戦。
自分にできることはした。そのはずである。
袁術は眠りという安寧に身を委ねる寸前まで問いかける。

「じろう、わらわはどうしたらいいのじゃ……？
　わらはとて、母様のように前線に身を晒しておるぞえ。
　母様のように弓を引けないのがいかんのかや……？
　じろう……、七乃……。
　麗羽姉さま……！」

べそ、べそと嗚咽が室に響き、やがて寝息は穏やかに。

夜が明け、いつも通りの面子が控える。
部下の言上は彼女にはよくわからない。理解などできない。
で、あるからこそ前線で体を張る兵たちを慰撫するのである。

「うむ、苦しゅうない。
　よきにはからえ」

袁家の誇る官僚団。それが抱える危機時における対応手順に伴い防衛戦は続いている。
彼我の兵力差を考えればありえないほどの奮闘である。
だが、それでも限界が見えてくる。見えてしまう。

袁術は腹を括る。

なんとかこの身一つで収めるしかあるまいと。
それこそが袁家直系たるわが身の役割であろうと。

<<前のレス[*]｜次のレス[#]>>

1002Res/599.36 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ