165:箱庭の魔女[saga]
2012/07/11(水) 22:55:30.15 ID:qQjvGW6F0
私達はそれで完全に沈黙しました。
私は鞄を放って、スカートでお尻が汚れないように体育座りをしました。
目の前のさやかちゃんが何か言いたげでしたが、とてもそんな気分になれなかったのか、口を半開きにしたまま私と同じように座りこんでしまいました。
まどか「…………昨日テレビ見てたの」
さやか「…………」
この頃はまだ、僅かながらに元気があったと思います。
さやかちゃんは半開の口を全開にしてどうにか気分だけでも明るくしようと、必死に話を盛り上げてくれました。
私もなんだか楽しくなってきて、ほんのちょっぴり気分がよくなりました。
どんな話をしていたのかはほとんど思い出せませんが、さやかちゃんが6回「お腹空いたね」と発言したことはしっかり覚えています。
まどか「そしたらママがカルピスを作ってくれたんだけど」
さやか「…………」
まどか「物は試しだなって言って、トマト割りカルピス出してきたの」
さやか「…………どうだったの」
まどか「…………」
さやか「…………」
まどか「…………私はママの名誉を守りたい」
さやか「…………おっけ」
まどか「…………」
さやか「………………おっけ」
その頃からでしょうか。
もう誰も助けには来ないんじゃないかという絶望。
もう太陽の光を拝めないんじゃないかという恐怖。
もう近しい人に会えないんじゃないかという悲哀。
もうご飯が食べられないんじゃないかという無念。
もうやりたい事出来ないんじゃないかという後悔。
もうご飯が食べられないんじゃないかという不安。
もうそうすら許されないんじゃないかという焦燥。
もうご飯が食べられないんじゃないかという絶望。
そういったものが脳裏をマッハで駆け廻っては消えていました。
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