171:箱庭の魔女[saga]
2012/07/11(水) 23:09:41.26 ID:qQjvGW6F0
あれからどれくらいの時間が経ったのか、私には分かりません。
気が付くと私達は、まださやかちゃんの家を出た頃とほとんど変わらず紅いままだった空を眺めていました。
目を凝らせば、一番星どころか十番星くらいは見つけられそうな、そんな空です。
二人してぼーっと顔を上げていました。
そういえばお腹が空きました。
まどか「…………」
さやか「…………なんだったんだろうね」
まどか「…………さあ」
さやか「…………家帰んなくて大丈夫?」
まどか「多分……時間分かんないけど」
今時の女子中学生は、携帯電話で時間を確認するものなのです。
さやか「そっか……じゃあ、あたしそろそろ家に戻るね」
まどか「うん、ありがとうさやかちゃん」
さやか「今度は階段を使うよ」
ナイスアイディアだと思います。
さやか「じゃあねまどか、また明日」
まどか「ばいばーい」
さやかちゃんを見送ってから、私も家を目指して歩き出しました。
本当に長い時間、あのエレベーターにいたような気がしていたのですが、空から察するに全然時間が進んでいないようでした。
とはいえ、私は少し駆け足で歩きます。
お腹が空いていたのです。
どこかで聞いたことのある声が聞こえた気がしたのですが、お腹が空いていたので聞こえなかったことにしました。
どこかで見たことある姿が視界に映った気がしたのですが、お腹が空いていたので見えてなかったことにしました。
さて、いつの間にか私は我が家の前に立っていました。
まどか「ただいま!」
空腹を我慢できずに勢いよくドアを開けて、私は急いでリビングに向かいました。
ご飯はまだ出来ていませんでした。
―劇終―
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