過去ログ - とある一位の鬼隠し
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997:エピローグ〜とある畦道の夕暮れの中に〜[saga]
2013/01/23(水) 07:46:20.81 ID:Xpww3lwDO
気づけば夕暮れの畦道を歩いていた
意識ははっきりしないが冷やされていく空気とひぐらしの鳴き声が妙に心地よい

これまでの事が上手く思い出せない

まるで夢と現実が混ぜ合わされているかのような感覚だ

いや、たぶんこれは夢なのだろう
恐らくこの夕暮れの風景が完全に闇に包まれたら自分はまた目を覚ますのだ

ふと右に目を向ける

そこには夕闇で顔ははっきりとは見えないがレナがいた


「──────」


彼女の言葉は聞き取れなかったが恐らくそれは優しい思いやりのある言葉なのだろう
今まで誰にもそんな言葉はかけてもらえなかった
友人として対等な目線での彼女の優しさは何よりも温かかった

そんなレナが大好きだった


次に左へ目を向ける

そちらには同じくはっきりと顔は見えないが魅音がいた

魅音はこちらの視線に気づくと踊るように体を回し数メートル先まで走っていった

明るく活発な彼女との思い出が浮かび上がってくる

休日を早く起きて遊び回るなんて以前の自分からしたら考えられない事だった
初めて心から気を許せる友になってくれた

そんな魅音が大好きだった

勿論この思いは自分が思っているだけの一方的な感謝で彼女らにとっては何の特別な事でも無いのかも知れない
ただ単に普通に雛見沢に来た転校生と打ち解けようとしていただけなのかも知れない
だけど自分はそれに救われた

そんな雛見沢の普通が大好きだった

気づけば辺りはますます暗くなっていた
二人の姿もかなり見えなくなっている

暗くなれば自分は違う状況で目を覚ますかも知れない
ならば最後に一つだけ言わなくてはならないことがある

自分を救ってくれたレナと魅音、そして雛見沢に。

心からの最初で最後の


「…ありがとう」


視界は完全に闇に包まれた
ひぐらしの声はまだ鳴き続けている


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