過去ログ - 【Fate】汝、自らを以って最強を証明せよ【コンマで聖杯戦争】
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◆otXcqJ9cB.
[saga]
2012/06/02(土) 22:26:16.11 ID:TV9WXI1Zo
何時ぞやの採用話その1 《聖帝の場合:始まり》
――――雨が降っていた。
呆然と、その雨に打たれて俺は空を見上げている。
耳に残るのは、地面へと落ちては消えていく雫たち。
その中に決して混じれない、赤い雫が腕を伝って地面へと消えていこうとして、そこに滲んだ赤を残している。
だが、その赤は広がってきた赤に混じり、消えた。
視線を前に向ける。
その“赤”を流し、雨に濡れている『ソレ』。
『ソレ』は、人だった。
胸に拳大の穴を開け、歪んだ顔のまま事切れた女。
殺したのは、俺だった。
今先ほど、本当に一瞬で、呆気なく。
人を一つ、壊した。
本当に好きだった子を自分の手で。
「魔術………」
ぽつりと、そんな呟きが口から漏れ出る。
余りにも非現実な単語だと、自分でも思う。
だが、見る。
自分の手を見る。
彼女を殺した腕を見る。
彼女は、俺の中に存在するものを狙っていた。
そう、聞いていた。
――――『起源:掠奪』を固有結界として自然と体内に保有する化け物。
彼女は俺にそう語る。
彼女は、魔術師だった。
この世界の裏側に存在する、神秘を行使する者。
全ての始まりを追い求める者。
彼女が俺と付き合っていたのは、俺を介して『根源』への足がかりを得るためと、そう語っていた。
その彼女が俺を見る目は、何処までも無機質。
それが余りにも恐ろしくて、逃げる。
逃げて、逃げて、逃げて……今ここに、こうして追い詰められた。
彼女を殺さなければ、逃げれないと自然に考えるほどに、追い詰められていた。
その時にはもう『彼女は敵』だと……そう、認識していたのだろう。
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