過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」2
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/06/05(火) 01:13:33.19 ID:Awj1Gu8/o

 ………………え?


 朦朧とする意識の中で、ふと思考が働いた。
 その事実に彼女は――ほむらは人知れず驚愕した。

 何も視えず何も聴こえず何も匂わず何にも触れず何も味わわず。
 意識など当然のように無く、思考という行為すらも絶え、死という概念すらも死にゆく領域。
 そもそも存在しているかどうかすら曖昧な、空っぽの世界。
 暗くも無く、明るくも無く、色すら無いクリアな世界。
 無い、という概念すらも無い透明な世界。
 それは闇ではなく光でもない。本当の意味で何も無い無の世界。死後の世界。消失した世界。

 その中心に、ほむらという存在が初めて形成された。

 ……でも。

 それがどうしたというのだ。
 おぼろげに浮かび上がる身体を縮めて、膝を抱えて、彼女は小さくなる。

 ……だって。

 ほむらは知ってしまった。
 自分が犯した罪の数々を。
 大勢の人間の因果を捻じ曲げ、あまつさえ本来与えられるべき“自分”の人生すら奪ってしまった。

 意識が途絶えるあの瞬間。あの刹那。
 私は聴いてしまった。

『わたしはこんなに不幸なのに、どうしてあなたばかり幸せなの』

 それは“私達”の嘆きであり、嫉妬と憎悪の固められた慟哭であり、悲哀と呪いで彩られた叫びでもあった。

 ……だから。

 いまさら、どうしろと言うのか。
 私を起こして、何かを願うのだろうか。
 私を呼び戻して、何かを償わせるのだろうか。

 私はもう、何もしたくない。だって私は存在しちゃいけないんだから――――


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