過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」2
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/06/05(火) 01:06:34.63 ID:Awj1Gu8/o

――捻じ曲げられた物質が閃光を撒き散らし、解き放たれたエネルギーが怒号を掻き鳴らす。

 単純に相手を破壊するためだけに束ね上げられた、複雑で異常なベクトルが結界を激しく震わせる。
 結界に穿たれた穿孔から流れる、地球と結界外部に流れる自転と公転のエネルギーの塊だ。
 一方通行が極限まで練り上げ、束ね上げ、練成し直した研ぎ澄まされた必殺の破壊刃。
 その気になれば街一つ――下手をしたら小さな島一つ引っぺがすような必壊の破壊槌。
 それらがまとめて、身体を失った魔女の翼に押し寄せた。

 空間が、爆ぜる。

「さて……どォ出るか」

 破壊の爪痕が、わずかな時間と共に過ぎ去ってゆく。
 灰色の上空――およそ数千メートルの先の位置に敵を確認。残念ながら敵は健在だ。
 魔女の翼は吹き飛ばされこそしたものの、それだけだ。魔女の翼は破れていない。
 エネルギーの無駄を一切無くした、敵を打ち破るためだけに作られた攻撃をものともいないのだ。

「チッ、しつけェな」

 常識ある人間ならば驚いてしかるべき光景だが、一方通行は常識なき人間だ。
 彼は舌打ち一つで事実を受け止めると、わずかに地面を蹴って瞬く間に数百メートルの位置まで浮上する。
 背から黒い翼を噴出させながら、その翼のベクトルを練り集めて魔女の翼へ差し向けた。
 直後、翼が幾分にも分かれて、強大な力を秘めた羽が射出された。

 結界の大気が震える。
 物質の怒号が鳴り響く。
 幾本もの黒い羽が、魔女の翼を討ち取るために空間を掻き毟る。

 ある物は目標を刺し貫くために加速し、
 ある物は目標を抉り取るために極端なカーブを付け、
 ある物は目標を叩き潰すためにその身を広がせていく。

 単純な天使ならばこれだけで破壊できるほどの力の豪雨が、体の無い魔女の翼へ襲い掛かる。

 再び、空間が爆ぜる。

「これでダメならもう一つ上まで行くしかねェが、くたばってくれンならそれでも構わねェぞ」

――正直なところ、ここでくたばってくれれば助かるのだが。

 ミサカネットワークによる思考・能力の補助を受けている以上、その電波がなければ彼は本領を発揮出来ない。
 結界の奥に届く電波は最初こそ強かったものの、戦闘の影響でだんだんと微弱になりつつある。
 啖呵を切ったは良いものの、彼はいま窮地に立たされていた。



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