過去ログ - 風子「風待ち鳥は空を見ていた」
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38: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:21:15.16 ID:bzATqBdvo
 時刻は午前四時を過ぎ、カーテンの隙間からは空が見えている。
 空は薄い藍色に染まり、朝の訪れを予感させた。

 無防備に空を見ていた私に、小さな物音が飛び込んだ。
 泥棒と思ったけど、おそらく新聞配達だろう。
以下略



39: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:21:45.38 ID:bzATqBdvo
 午前五時さすがに眠い。
 でも今寝たら学校に行けなくなる。
 いや少しでも寝ておいたほうがいい。
 徹夜はしたことがある寝なくても大丈夫。
 そうじゃなくて体に悪いから寝ておいたほうがいい。
以下略



40: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:23:10.25 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――

 結局和ちゃんとはよそよそしいまま、三日が過ぎた。

 そのあいだ私は、夜中に鬱々と考え朝方に眠り、
以下略



41: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:23:39.66 ID:bzATqBdvo
 昼休みの教室では昼食を終えたあと、みんな思い思いの時間を過ごしている。
 勉強する子、談笑する子、本を読む子、トランプに興じる子。
 その一方私は机に座り、置物のようにじっとしていた。

 頭の中に泥が詰まっているような感覚、ただの寝不足だと思うことにした。
以下略



42: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:24:44.31 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――

 なっちゃんに手を引かれ、保健室の前までやってきた。

「誰もいないみたいだね、入っちゃおうよ」
以下略



43: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:25:19.29 ID:bzATqBdvo
「それじゃあ、休むよ」

 上着を脱いで、手を差し出している彼女に手渡した。

「風子、眼鏡も」
以下略



44: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:26:32.49 ID:bzATqBdvo
「放課後和ちゃんと話してたの、もうすぐ卒業だねって。
 そしたら私、卒業するのが寂しいって、和ちゃんの前で泣いちゃった。
 私ね……一年のとき友達居なかったの。
 話す子が居なかったわけじゃないけど。
 友達って言えるのは……たぶん、一人も居なかった」
以下略



45: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:28:14.94 ID:bzATqBdvo
 今彼女が隣にいるのは、あのとき話し掛けてくれたからだ。
 席が一つずれていたらどうだっただろうか。

 きっかけは何だっていい、こうしてそばにいてくれるんだから。

以下略



46: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:29:19.35 ID:bzATqBdvo
「それなのに卒業するのが寂しいだなんて……。
 ワガママだよね、自分が嫌になっちゃう」

 こぼれた涙が枕を濡らした、文字通りの意味で。

以下略



47: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:29:50.00 ID:bzATqBdvo
「でも……」

 思わず口ごもった。相談するのが嫌なわけじゃない。
 なんとなくみんなに悪い気がしてしまったから。

以下略



48: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:30:39.56 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――

「……ん」

 薄目を開き最初に飛び込んできたのは、ピンク色のカーテンだった。
以下略



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